自転車に乗って街を走ると、何気ないところにも季節の花がひらいているのに、驚かされます。
小さな発見でもその日一日、とても幸せな気分でいられるから、季節を追いかけるアンテナをいつも立てています。自分の名前に茜という草の名を持ち、植物を育てて暮らす農業を営む家に生まれ育ったからこそ、草花を愛しむ気持ちを小さな頃から大切に思ってきたのかもしれません。
冬に咲く花はそうたくさんはありませんが、梅や水仙などの香りにはおのずと誘われます。また、冬枯れの景色のなかで一等鮮やかな椿の色は、折から歩みをとめてしばらく眺めていようかという気持ちにさせます。
立春を過ぎても二月はまだまだ寒いですから、名残の寒椿を名古屋帯に選びました。冬の終り、もうすぐ迎える春をまえにして、冬の間ずっと花をつけてきた椿を惜しむつもりで身にまといます。かんざしも知人が椿の枝を彫ったものです。
東大寺二月堂の根付は旧暦二月に行われる修ニ会に因んで。火と水の、春を待つ行事です。このお水取りを踊る、歌舞伎の達陀(だったん)という舞踊があるのですが、この群舞は勇壮で荒々しく大胆で大好きです。お水取りに際して、籠りの僧たちは奉納された和紙で十一面観音に捧げる椿の花を作ります。
というわけで、実はひそかに椿づくしのコーディネイトなのでした。 |
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