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きものあそび

牧野茜のきものコーディネート
桜にちなむ2つの行列 ― やすらい花と桜花祭 2005.4

1月に引っ越した新しい家の目の前の通りを、二つの行列が通過していく日があります。京都にはたくさんの寺社があって、それぞれに行事があり、行列もたくさん目にしますが、同じ日の同じ時間帯に同じ場所を別々の一行が通るというのは稀有なこと、偶然とはいえおもしろいところに引っ越したものだと感心しました。

4月の第2日曜日、今年は10日がその日です。西陣のなかでも北西のエリア、電信柱が邪魔をして車も通りにくい一方通行のその道を、午後2時から3時にかけて、東から玄武神社の「やすらい花(やすらい祭)」、西から平野神社の「桜花祭」の行列が歩みます。
疫病を封じる花鎮めの「やすらい祭」といえば京都の三大奇祭で、今宮神社が有名ですが、実は今宮、玄武、川上の三つの社で行われています。提灯を吊り下げた氏子の家の軒先で赤い衣裳に赤(しゃ)熊(ぐま)黒熊(こぐま)をかぶった大鬼4人が太鼓や鉦を打ち鳴らしながら踊り、一行は網の目を縫うようにして入り組んだ路地を練り歩きます。
もう一方の桜花祭は風俗絵巻で、天平風俗の織姫や平安の市女笠、元禄期の町娘、騎馬武者などが歩を進めます。実は5,6年前に一度参加したことがあって、地毛で日本髪を結い、江戸の町娘に扮しました。境内に咲く桜の枝を手折って髪に挿してもらったのが思い出です。

「みわたせば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける」古今集の素性法師の歌です。堀川通には川の右岸に柳、左岸に桜と松が交互に植えられていて、さながらこの歌のようです。4月中旬世間をにぎわした染井吉野が散ったあとでも、京の街では枝垂れや手まりの八重、御室の桜などが順に咲いていきます。そのころには柳のきものに桜のぽちっとした帯留をつけて、それぞれの桜に会いに行きます。ソメイヨシノとは違って愛らしさがひとしおです。

やすらい花
4人の大鬼が丸くなって、飛び跳ねるような動きで舞い踊ります。
やすらい花
囃子方の子供たちや世話役の大人の装束は、玄武神社にちなむ丸に玄の文字と亀甲模様。こんな衣裳なのに、子供たちの足元はスニーカー。
やすらい花
行列の先頭を行く稚児の薄物のピンクが愛らしい。稚児たちの横には、訪問着姿のお母さんたちがいました。
桜花祭
桜の枝を持った江戸の町娘に続いて、平安の市女笠姿。さらにこの後には騎馬武者がいました。
桜花祭
町娘もいろいろなきものを着ています。この2人は黒の繻子衿に鹿の子の半衿と帯。髪の結い方も違います。
     

紺地にしだれ柳の小紋。紅型みたいな色の挿しかたがおもしろい。
紺のきものに、あえて紺白の帯を合わせてすっきりと。
     
陶器の桜のはしおきを帯留にしてポイントに。エンジの市松の三分ひもが紺色コーディネイトの真ん中をひきしめます。
帯の紺地の部分を胴回りに出すにはいつもと反対(時計回り)に巻かないといけないので大変。松皮菱の手ぬぐいを半衿に。
     
 
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