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きものあそび
 
牧野茜のきものコーディネート
牡丹の九条袈裟 2006.04

大覚寺の裏手をさらに北へ行った嵯峨野の奥に、静かな竹林に囲まれた直指庵(じきしあん)というお寺があります。その名のとおり、庵を結んだという風情でひっそりと佇んでいます。京都でも知る人ぞ知るというこの場所で、ゴールデンウィークに、珍しい友禅染めの「九条袈裟」を初公開する、という新聞記事を見て、訪れることにしました。
新聞で紹介されていたにもかかわらず、嵯峨野や嵐山に比べると観光客はそう多くなく、ゆったりとした時間を堪能できます。地面いっぱいに花が落ちた椿と、一本の木に紅白の花がついた桃の木が春の名残を見せる一方で、竹林にはさわさわと葉擦れの音が渡り、青楓の若葉からこぼれる柔らかな光がきらきらとして、深く息を吸えば新緑の色が身体中にしみわたります。庭一面に咲き連ねる石楠花も鮮やかです。

訪れたときにはちょうど石楠花(しゃくなげ)が満開でした。
お目当ての袈裟は、わたしが大好きな牡丹の「花の一生」がテーマで、一般に織物の多いなか、加賀友禅作家の中町博志さんが寄贈した珍しいものです。つなぎ合わされた布片をまたいで絵柄がつながっていながら、左から右へと順に、牡丹が芽吹き、つぼみから花開き、やがて散り、朽ちていくさまが描かれています。九条袈裟は浄土宗で、宗祖・法然の御忌法要の際に唱導師が身につける法衣だそうで、実際に着用している写真を見ると、カラフルな染めの色と光沢のある生地の質感が華美な雰囲気で、法要といっても晴れの場に着用するものなのだろうなと見受けられました。
珍しい華やかな友禅の袈裟を拝見できたうえに、思いがけなくも閑寂な境内で新緑の気分を堪能できて、大満足の一日が過ごせました。

大好きな牡丹の帯は、桜の散るころからゴールデンウィークくらいまでの時期に活躍します。ちょっと変わった帯で、ろうけつの地に、柄の部分だけ綴れのようになっている袋帯です。この帯を締めると、春だなあという気分にひたります。
嵯峨野の奥、竹林のなかにたたずむ直指庵。小さなお寺ですが、おすすめです。
     
牡丹の袋帯は、ずいぶんまえに西陣・織成舘で買いました。まだまだきもの初心者だったころですが、いい買い物だったと思います。
なぜか袋帯の裏地が白、おたいこ部分が少しずれるだけでも白地が見えて気になるので、着付に気をつかいます。
     
おびあげはピンクとクリーム色の地にちょうちょと桜が描かれた春らしい一枚です。おびじめは三分ひもとしても使える優れもの。
巾着バッグと草履はどちらも、桜の花を刺繍したものです。花が散ればさすがに桜のきものや帯は着ませんが、小物づかいでは4月いっぱい楽しみます。
     
 
 
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